色々な文化が集まり渾然一体とした街並みを形成している吉祥寺。
その下敷きにあるのは、吉祥寺という地域を構成するいくつもの「○○通り」と呼ばれる大小さまざまな道路であることは間違いありません。
通りごとに色々な特徴がありますが、特定のジャンルに集中する通りもあれば、あらゆるジャンルを飲み込む通りもあったりして、いろんな通りを歩いていると毎日のように新しい発見が生まれるのが吉祥寺という街の面白さです。
今回取り上げる「大正通り」は、吉祥寺の中でも中心にある代表的な通りの1つで、特に北欧風のおしゃれなお店が多く集まり、グルメも通り沿いや周辺の通りに集まっているので、一日過ごせる充実した街並みになっています。
今回は、吉祥寺の主要な通りの1つである「大正通り」を散歩しながら、大正通りならではの楽しみ方を紹介していきます。
大正通りはおしゃれな店やグルメが集うメインストリート
大正通りは、五日市街道と中道通りの間に並行している通りであり、大正時代の終わりごろからの度重なる道路整備によって生まれた通りの1つで、昭和通りと同じく「東急百貨店 吉祥寺店」沿いに東西に延びています。
吉祥寺駅からのアクセス
北口を降りて目の前のサンロード商店街に入り、左手に「一蘭 吉祥寺店」が見えるまで歩きます。
ラーメン屋である一蘭の隣にある「tutuanna* PINK LABEL」の角を左に曲がると、吉祥寺の中心的な商業施設として知られる「コピス吉祥寺」B館沿いに延びている「ペニーレーン」に合流します。
コピスA館とB館の間にひっそりと延びる細道であるペニーレーンを吉祥寺通りまで歩き、信号を渡ったところが大正通りの始まりです。
どのような通りか
大正通りは吉祥寺の代表的なランドマークの1つとして40年以上の歴史を誇る「東急百貨店 吉祥寺店」沿いがスタート地点となっており、その分かりやすさから多くの観光客や地元民でごった返しています。
特に週末ともなれば、東急百貨店の表側に位置する通りであることも相まって、大正通りの入り口は非常に混雑しており、普通に車も通れますし何なら武蔵野市内の循環バス「ムーバス」も通る場所であるにもかかわらず、歩行者天国と錯覚してしまいそうになります。
入り口にはフィットネスジム「JOYFIT24」とドラッグストアの「マツモトキヨシ」、コンビニの「セブンイレブン」といきなりチェーン店が集中しています。
東急百貨店沿いにはそれ以外にもいろんなお店が集中して軒を連ねていますが、大正通りは全般的にも吉祥寺らしさを感じられるおしゃれな雑貨店やおしゃれなグルメが集まり、まさに吉祥寺のメインストリートの1つとして非常に著名な通りとなっています。
大正通りも昭和通りと同じく、中心地から離れたエリアは住宅街となっていますが、繁華街といえる店が集まるエリアは入り口から300mほど続いているため、昭和通りよりも賑やかなエリアは長く、お店の数的にも充実しています。
入り口付近には有名グルメ店がずらり!近年話題の「挽肉と米」もある
大正通りの入り口、東急百貨店沿いから色々なお店が目に入ってきて情報量が多いですが、ここは細い通りであるにも関わらず車両の交通量も比較的多く、時にはバスも通るため、常に警備員さんが交通整理を行っています。
あまりゆっくりできない場所ですので、特に用事がなければ東急百貨店沿いのエリアは飛ばしてしまってもいいかもしれません。
しかし、東急百貨店沿いを抜ける交差点から先にはおいしそうなグルメのお店がずらり。
ここから先はいきなり寄ってみたくなるようなグルメが目白押しでついつい足を止めて迷ってしまいがちなので、特に週末ともなれば多くの人々がひしめいています。
大正通り沿いには牛丼で有名な松屋フーズが手掛ける「ステーキ屋 松」が存在感を主張していますし、その隣には台湾茶カフェ「月和茶」の台湾の古民家をイメージした個性的な建物が目を惹きます。
「青雲堂印房」を挟み更に隣には中華そば「春木屋」と「喫茶ロゼ」、吉祥寺の代表的なカレー店「カレー食堂 リトルスパイス」があり、お昼や夕飯時には大変混雑するエリアです。
ちなみに、東急百貨店を抜ける前にさしかかる交差点を右に曲がると、近年非常に話題を集めている際立って個性的なグルメ「挽肉と米」があります。
このお店は名前の通り、出来立てのハンバーグと美味しい白米にメニューを絞っており、まさに純粋に「挽肉と米」を食べたい人々が集うお店ですが、その個性的とも言える特徴として、あまりに人気のため事前予約ではなく店頭での「事前記帳」が必要になっており、午前と午後の2回の記帳をあらかじめ済ませていないと入れないというシステムになっています。
人気の理由は、プロの方が直々に目の前の鉄板で焼かれる「挽きたて・焼きたて」の旨味の一切が逃げずに閉じ込められた究極のハンバーグ(90gずつ3個まで無料)と、種類にこだわった釜炊きの白いご飯(おかわり無料)。
これに更にお味噌汁と自家製ポン酢と鬼おろし大根、自家製調味料、生卵(1人1個まで無料)もついて1,300円という大変リーズナブルなお値段というのも相まって、早い時には記帳受付開始から1時間もすればもういっぱいになってしまうといいますから、地元民でもなかなか食べるのは難しいお店ですが、一度は訪れるべき名店と言えるでしょう。
グルメの選択肢は豊富にありますので、まずはお昼時などお腹を空かせて訪れ、最初に腹ごしらえしてから散策を始めるのもいいかもしれません。
入り口以外にも、脇道を一歩入れば美味しいレストランやカフェが色々とあるので、「食」を目当てに訪れてもいいでしょう。
「北欧通り」でノルディックな雑貨店や手芸屋さんを回ろう
大正通りを大きく特徴づけるのはグルメだけではありません。
むしろ、大正通りといえば別名「北欧通り」と呼ばれる区間があるほど、北欧の雑貨やファッションアイテム、グルメなどのお店が集まっていることでよく知られています。
左手に藤村女子中・高等学校の校舎を見つつ通りを更に進むと、吉祥寺の中でも有名な北欧雑貨店「CINQ(サンク) 吉祥寺店」が見えてきます。
「CINQ 吉祥寺店」は、原宿にもある同名の北欧雑貨店の姉妹店で、吉祥寺の「北欧通り」の中でも知名度の高いセレクトショップ。
特徴でもある白を基調とした店内には、北欧の国々より直接取り寄せた様々な雑貨と一緒に、日本製の手工芸品も並んでいる光景が目を惹きます。
「北欧通り」とか「北欧雑貨店」と言いつつも、異文化に振り切っているわけではなく、ちゃんと日本で作られた品々も織り交ぜているあたりがまた吉祥寺の渾然一体とした雰囲気にぴったりです。
近隣には北欧通りという名にふさわしい洗練された雰囲気のお店が軒を連ねており、キッチン雑貨・生活雑貨を取り扱う「coeur de coeur e’lire(クール・ドゥ・クール エリュ)」や、毛糸の専門店「シープメドウ」、リバティプリントやパターン・雑貨を豊富に取り扱う手芸店「CHECK&STRIPE 吉祥寺店」といった各種雑貨やファッションの素材を扱うお店も見た目からして可愛い雰囲気を放っています。
「北欧通り」には北欧料理のレストランやカフェも!休憩や食べ歩きにもおすすめ
北欧通りは何も雑貨やファッションを扱うお店ばかりではなく、グルメも充実しています。
アンティークの家具や雑貨が並び、スパイスやチャイの葉などの食品や調味料、インドの炊き込みご飯「ビリヤニ」も扱う多国籍カフェ&雑貨店「Harmonia Sajilo(ハルモニア・サジロ)」も、品揃えこそオリエンタルな雰囲気を漂わせていますが、外観は洗練された北欧通りらしいファッショナブルな文化を纏った雰囲気を演出してくれます。
Harmonia Sajiloの奥にはイギリス・フランス・ギリシャといったヨーロッパ全般の文化を汲んだ様々なパンで知られる「Dan Dix ans(ダンディゾン)」もあり、パンの製法こそヨーロッパであるものの、北海道のよつ葉発酵バターや北海道産黒豆かのこなど、日本産の材料を用いていたりするところもまた吉祥寺らしいですよね。
青地に黄色い十字のスウェーデン国旗が目を惹く、珍しい北欧料理を専門に提供するレストラン「ALLTGOTT(アルトゴット)」では、ノルウェー産ニシンやアンチョビをふんだんに使った北欧コース料理だけでなく、スウェーデンのワインや自家製グロッグ(ラム酒の水割り)、ミード(蜂蜜酒・最古のお酒とも呼ばれるビールやワインの原型)も楽しめます。
大正通りの奥まったところはほぼ住宅街になっていますが、こうしたグルメや雑貨の多いエリアを過ぎてもっと奥に行くと、ドラマ版『書店ガール』の舞台ともなったヨーロピアンな隠れ家カフェ「カフェ デゥ クレプスキュール 吉祥寺店」もあって、ランチ・ディナーの本格的西洋料理のみならず、自家焙煎ネルドリップコーヒーやケーキを堪能できます。
まとめ|吉祥寺屈指のオシャレ特区「大正通り」で散歩を楽しもう!
以上、吉祥寺の中でも屈指の「オシャレ特区」、北欧の雰囲気色濃いファッショナブルな通りとして知られている「大正通り」沿いの必ず訪れるべきおすすめスポット(店舗)や、おすすめの歩き方をざっと散策仕立てにして紹介しました。
日本で西洋風のファッションや文化が花開いた「大正」を彷彿とさせるような、文化純度の高い、オシャレを濃縮還元したような雑貨店やセレクトショップ、グルメの数々が集う「大正通り」では、吉祥寺に点在する北欧雑貨店や東急百貨店とコラボして定期的に「北欧WALK」というイベントが行われるなど、吉祥寺にひそかに息づく「北欧」を色濃く感じられるスポットとして、必見の場所となっています。
散歩がてらウインドウショッピングを楽しむだけでも、十分に充実した時間を過ごせるはずです。
次の週末にでも、北欧文化の味香る「大正通り」をゆっくり散歩してみてはいかがでしょうか。