吉祥寺が「住みたい街ランキング」上位常連に位置している理由をご存知でしょうか。
それは、吉祥寺に住んでいると、大抵のことは吉祥寺で体験できてしまうからでしょう。
最先端の流行から古き良き老舗まで、色々なお店が中心エリアに集まっているので、ショッピングに関しては困ることがありません。
吉祥寺は観光スポットや繫華街を内包しながらも、都心出勤者のベッドタウンでもあり生活圏として使う人も多いので、生活用品や生鮮食品も手に入れられます。
それに加えて吉祥寺が非常に強いのは、「井の頭恩賜公園」という非常に広い自然公園を持っていること。
しかもただ自然が広がっている公園ではなく、動物園や水族館、本格的な料理店や売店、寺院まで内包しているのです。
今回は、井の頭恩賜公園内にある、営業再開したばかりの「井の頭自然文化園」を実際に巡ってみました。
【概要】井の頭自然文化園は動物園・水生物園の2園で構成されている
吉祥寺の誇るメイン観光スポットの1つでもある「井の頭恩賜公園」。
その中に「井の頭自然文化園」という、動物園と水族館その他を兼ねた施設があることをご存知の方は多いでしょう。
井の頭自然文化園は本園と分園の2つで構成されており、吉祥寺通り(公園通り)を挟んで西側に位置する動物園を本園、東側に位置する水生物園を分園としています。
かつては、現在水生物園のあるエリア、スワンボートでも有名な「中之島」の中に、小さな動物園(中之島小動物園)と淡水専門の水族館(中之島水族館)があるだけでした。
しかし戦後日本が奇跡ともいえる大復興を遂げる中で、井の頭自然文化園も急激な成長を遂げリニューアルを繰り返し、現在では井の頭恩賜公園全体の3分の1を占める大規模施設に成長しました。
吉祥寺通りで分断されている本園と分園は、1962年に「御殿山橋」と呼ばれる陸橋が完成して以来、今に至るまで吉祥寺通りを跨ぐ形で結ばれています。
- スポット名:井の頭自然文化園
- 住所:〒180-0005 武蔵野市御殿山1-17-6
- 営業時間:9:30~17:00(入園は16時まで)毎週月曜日定休
- 料金: 一般400円 中学生150円 65歳以上200円 ※年間パスポートあり
【注意点】「井の頭自然文化園」は現在、整理券がないと入れない!
2020年以来、日本だけでなく世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス。
その影響を受け、井の頭自然文化園は長らく臨時休園に追い込まれており、なんと2020年12月26日から、2021年6月3日まで半年以上の期間にわたって臨時休園が続いていました。
現在も3度目の緊急事態宣言の真っただ中ではありますが、緩和措置によって動物園・水族館等の施設の再開ができる運びとなり、2021年6月4日にようやく営業再開となりました。
しかし、依然として感染拡大防止策を取らないといけない関係上、入園者数を大幅に制限する目的から、現在は整理券を持っていないと入園できません。(団体受付も当面の間休止となっています)
年間パスポートを持っている人も、各種手帳を持っている無料入場対象の方でも、現在は入場券とは別に整理券を持っていないと入場できませんので、注意しましょう。
整理券はWebあるいは電話(0570-091-200 9時から18時まで(期間中無休))で申し込みを受け付けており、1時間ごとに指定の入場時間枠が設けられていて、日時と入場時間を選択して申し込みを行います。(入場時間は以下の通り6つの時間枠が設けられています)
- ■入園時間
- ① 9時30分~10時30分
- ②10時30分~11時30分
- ③11時30分~12時30分
- ④12時30分~13時30分
- ⑤13時30分~14時30分
- ⑥14時30分~16時00分
1申し込みにつき5枚まで整理券を申し込み可能で、Web申し込みの場合は、申し込みを完了するとQRコードチケットが発行されます。(スマートフォンやタブレット端末ではQRコードをスクショあるいは表示すればOKですが、パソコンの場合はQRコードの印刷が必要です)
現在は通路が整備されていますので、QRコードを受付で読み取ってもらわないと、入園券売り場まで進めないようになっていますので、必ず整理券を申し込むようにしてください。
電話申し込みの場合は確認番号が発行されますので、その確認番号を受付で伝えることで入園券売り場まで進むことが可能です。
ちなみに、現在入園口は動物園の正門と、水生物園の弁天門のみに制限されており、水生物園の七井門からは入園できません。(退園は可能)
なお、先着順で1日に2,000名までを上限としており、予約時に完売していれば残念ながら申し込みができません。
Web申し込みでは、カレンダー表示で申し込みできない日が選べないようになっており、時間選択のプルダウンでも完売している時間枠の選択ができなくなるので明確でわかりやすくなっています。
今回筆者は入園前日に申し込みましたが、なんとか枠が空いていたので事なきを得ました。
週末は特に早く売り切れる傾向にありますので、申し込みはお早めに!
【自然文化園の楽しみ方】動物園は反時計回りがおすすめ
筆者は今回、動物園の正門から入場しましたが、受付は比較的スムーズに進んでいる印象でした。
整理券確認所でQRコードを読み取ってもらい、入園ゲート前の入園券販売所で枚数を伝えてチケットを買い(年間パスポートを持っている人は年間パスポートを見せて)、入場します。
入場すると正面に大放飼場の東屋が見えますが、筆者がおすすめするのは正面右手の「モルモットふれあいコーナー」を起点として反時計回りに巡ること。
主要な動物たちを見てから「はな子カフェ」で一息入れて、「野鳥の森」を見た後に「リスの小径」を通って「彫刻館・アトリエ館」を回り、「資料館」を見てから大放飼場を眺めつつ正門まで戻って「こもれび」で疲れた足を休めるといった具合。
子供連れなら、「はな子カフェ」の次に「スポーツランド」の遊具で遊び、「資料館」のあとに「ぶらんこ広場」で子供を遊ばせるのもいいでしょう。
いろんな動物が集まっているエリアやリスの小径は、基本的にはある程度広さを持った環境型展示(野生に近い生育環境を再現して展示する手法)となっているので、よりリアルでのびのびとした動物たちの姿を見ることができます。
ただし、ハクビシンやタヌキなど夜行性の動物は昼間に行っても小屋で寝ておりほぼ身動きを取りませんし、カピバラも昼間は休憩していて夕方頃に活発に活動する生き物なので、動物によってはあまり積極的に動く様子が見れないかもしれません。
自分が行ったときはホンドギツネも眠り込んでおり「騒がしいなぁ、寝かせてくれよ」とばかりに頭を胴体に強く押し込んで丸まっていました。
かつて大人気だった「モルモットふれあいコーナー」はコロナ禍以来中止が続いていますが、モルモット自体は(檻に入れられてはいますが)見ることができますし、大勢のモルモットたちがひっきりなしにウロウロしているので、見応えは十分。
また、動物園内左奥の「いきもの広場」もコロナ禍以来中止が続いていますが、広場内の木で組まれた通路だけは通ることができるようになっています。
動物園の歴史や概要、主要な見どころと回り方については、詳しくはこちらの記事に書いておりますので、よろしければご参照ください。
【自然文化園の楽しみ方】水生物園は「水生物館」から回ろう
動物園から水生物園へ行くには、いったん動物園正門から外に出る必要があります。
外に出たら、目の前の陸橋、御殿山橋の階段を上るか、御殿山橋よりも吉祥寺駅寄りにある横断歩道を渡り、井の頭公園内に入りましょう。
御殿山橋から向かった場合は降りた先をそのまままっすぐ、横断歩道から向かった場合はスロープを井の頭池に突き当たるまでまっすぐ行った後、左に曲がれば水生物園の弁天門に辿り着けます。
水生物園は中之島にあるのであまり広さはなく、巡り方もある程度決まっています。
まずは、入り口から通路をまっすぐ行ったところにある「水生物館」に入りましょう。
水生物館は入り口・出口が同じ場所にあるので、自然と出口側から回ってしまいそうになりますが、順路は入り口から右へ進んで反時計回りに回るよう案内表示があるので、まずは入り口から見て右側へ移動し、反時計回りに水槽を見ていくのが正解です。
水生物館は小さな水槽・大きな水槽が整然と並んでおり、順番に見ていく形になりますが、淡水魚専門の水族館となっているので、「コイ」や「アユ」、「タガメ」や「タイコウチ」、「アカハライモリ」「オオサンショウウオ」「ミズグモ」といったように川や湖、田んぼなどにいる水生物が展示されています。
水生物園のオオサンショウウオといえば、太宰治の短編『黄村先生言行録』でも登場したことで知られていますが、さすがに太宰治が生きていたころのオオサンショウウオとは別でしょうね。
水生物館の「水生物」はほぼこの水生物館に集約されているので、主な見どころはある意味ではここだけとも言えます。
ただし、外にも主に水辺で暮らす様々な鳥たちが放し飼いにされていたり、檻の中に集められていたりしますので、水生物館だけで終わらせるのはもったいないです。
個人的に注目したのは「オシドリ」「カリガネ」が隣り合った檻と、「タンチョウヅル」と「サギ」の檻。
あまり日常的に見かけることが少ない珍しい水鳥たちも、ここではのびのびと暮らしています。
井の頭池に面する「水辺の小道」では、現在「水辺のいきもの広場」という新しいエリアが整備中となっていて、当面は少人数でのイベントで試験運用を行う予定だそう。
動物園側の「いきもの広場」とよく似た木造の通路が池のすぐそばの水草をかき分けるように伸びており、井の頭池に面している分風景もきれいなので、正式運用が楽しみでなりません。
反対側(弁財天側)には、橋が井の頭池に突き出た「ハクチョウデッキ」と呼ばれるエリアがあり、そこではリアルに井の頭池で暮らすハクチョウやガン、ミゾゴイなどを眺めることができます。
ハクチョウデッキ付近の東屋周辺にはベンチがあり、昼間にはのんびり座っているお年寄りや家族連れがいてゆったりとした時間が流れていました。
平日の昼間から1人でベンチに寝転んでガチ昼寝を決め込んでいる肉体労働者風のおじさんもいたりして、動物園側の木陰のベンチよりも更に緩やかな雰囲気が漂っていました。
七井門を出ればスワンボート場がすぐそこですから、スワンボートに乗ってもいいですし、弁天門から出れば井の頭弁財天が近くそのままお詣りできますので、目的に応じて門を使い分けるといいでしょう。
【まとめ】動物園→水生物園→井の頭公園 コースがおすすめ!
以上、簡単に井の頭自然文化園の動物園(本園)や水生物園(分園)の楽しみ方や実際に巡ってみての感想などをざっと紹介しました。
筆者のように近隣に住む者からしてみれば、近くの吉祥寺でこれだけ充実した動物や水生物との触れ合い体験ができるのは非常に幸運なこと。
しかも井の頭池の豊かな水源を生かし、淡水専門の水生物を集中的に見れるというのも嬉しいものです。
個人的にはこの記事の順番通り、「動物園→水生物園→井の頭公園」というように回るのをおすすめしますが、動物園に再入場もできますし、回り方は自由。
井の頭公園からは吉祥寺の各地へのアクセスが容易ですから、吉祥寺を丸ごと楽しむのにもうってつけです。
環境型展示の充実や井の頭池を有効活用した野外飼育など、上野動物園や葛西臨海水族園、多摩動物公園など、他の都の施設に負けない個性を持っている「井の頭自然文化園」。
半年以上に及ぶ休園を経ての、しかも人数を制限した再開園ということで、現在はある程度の混雑が予想され、特に週末は早々に売り切れてしまう状態です。
もしすぐにでも行きたいなら、土曜日の正午を待って、受付が開始されたら速攻で予約を取ってしまうことをおすすめします。