私は根っからの映画館屋だね。
井の頭会館は大正14年に開業した吉祥寺初の映画館で、まちに娯楽をと吉祥寺村の有志たちがカンパして出来たんだよ。
劇場で働く母親の背中に背負われ育ち、映画館が遊び場だった。
昭和20年代の映画は娯楽の王様。
学校から帰ったら、もぎりの手伝いもしていたよ。
後にバウスシアターとなる武蔵野映画劇場が昭和26年にサンロードにオープン、大学卒業後は営業担当として入社。
いろんな経験や苦労をしたけれども、ロックを演奏できる場所がなく困っている若者に根負けしてライブをした時はご近所に音漏れして大変だったね。
開館から30年経ち、新しく生まれ変わるためバウスシアターとして昭和59年にリニューアルオープン。
映画だけではなく音楽やパフォーマンス、演劇、なんでもできる場所にしたかった。
音響にこだわって声がよく響くようにステージを低くしたり、落語会もやったりね。
お金が無いから 安く借りられる音楽映画や聞い たことがないような映画をかけていたら、先鋭的な映画をかけると評判だと聞いてびっくり。
映画館前の広場でイベントもしたし、平成26年に閉館するまでいろんなこ とをしたよ。
閉館後は井の頭公園100周年記念に合わせて、井の頭公園を舞台にした「PEAKS」と いう映画の制作にも携わったよ。
吉祥寺は、昔は穏やかな静かな まちで公園と駅前に商店が少し、 お寺のお墓も多かったね。
昭和30年以降は商業施設や企業が増えて時代の流れと共に下町風では無くなったけれど、ぬくもりのあるまちであって欲しいね。
人間を生かすのはまち。
そのまちの中には文化と自然が必要だと思うよ。
心のゆたかさやゆとり、感動するってことが大事。笑いや物語を語れて、情けがあるまちであって欲しいと思うね。
本田 拓夫さん
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出来るだけ映画を見る。 映画に答えがたくさんある
