美味しく野菜を取るのに、吉祥寺の沖縄料理店「ハモニカ・クイナ」のタコライスは最適です。
厚生労働省「健康日本21(第二次)」によると、生活習慣病予防や改善には「1日で350g以上の野菜を摂取すること」が理想的だといわれています。
ただし、インスタント食品やファストフードが普及した現代で、食事に十分な野菜を取り入れることは簡単ではありません。
令和元年の厚生労働省「国民健康・栄養調査」においても、20代の野菜類平均摂取量は男性で約230g、女性で約210gにとどまっていて、若い世代の野菜不足は特に顕著です。
野菜を摂る習慣がない人にとって、野菜を取り入れた食事のハードルは高いもの。
意を決して食生活を変えても、続かない場合も少なくないでしょう。
こんなとき、野菜嫌いの誰もが思います。
「もっと美味しく野菜がとれたら」。
そこで筆者が目つけたのは、「タコライス」です。
沖縄県外では数少ないタコライス専門店のひとつに、吉祥寺のハモニカ横丁に店を構える「ハモニカ・クイナ」があります。
ハモニカ・クイナが提供しているタコライスの特徴は、「野菜が摂りやすい」ということ。
重量の半分以上を占める野菜の量にもかかわらず、ひき肉とサルサソースの力を借りて、口のなかへ消えていくとのことです。
野菜不足が深刻な20代の一員として、見逃すわけにはいきません。
今回は、実際にハモニカ・クイナのタコライスを食べてきました!
タコライスの発祥についても解説しますので、もっと詳しく知りたいという方も必読です。
タコライスの発祥とは
沖縄料理といえば、なにを思い浮かべるでしょう。
ゴーヤーチャンプルー、ソーキそば、ラフテー、海ぶどう、ジーマーミー豆腐。
オーソドックスなところでいえば、このあたりかもしれません。
では、タコライスにはどのようなイメージをお持ちでしょうか。
食べたことがあるないにかかわらず、「辛い」「サルサソース」「メキシコ」といったような、あまり身近ではない、「異国のイメージ」を抱いている方も多いはずです。
実はタコライスも、沖縄料理のひとつなんです。
ではなぜ、タコライスに異国のイメージを抱いてしまうのでしょうか。
その理由は、タコライスの発祥にありました。
タコライスの元になったのはメキシコ料理の「タコス」
タコライスとは、沖縄県の金武町(きんちょう)にあった「パーラー千里」で、創業者の儀保松三さんが考案した料理です。
アメリカ軍基地「キャンプ・ハンセン」の付近で営業していた「パーラー千里」では、当時、アメリカ兵に対して軽食を提供していました。
しかし円高の影響によって、お金に困るアメリカ兵が続出。
「安くお腹を満たしてもらいたい」という思いで1984年に考案されたのが、タコライスだったのです。
いまでは専門店も誕生し、沖縄の給食メニューにも名を連ね、県民内外に広く長く親しまれています。
タコライスという名前は、メキシコ料理の「タコス」からきています。
というのもタコライスは、タコミートと呼ばれるひき肉に玉ねぎ、トマト、レタス、チーズ、サルサソースといった具材を白米の上にのせる料理。
これは、タコスでトルティーヤ(とうもろこしからつくる薄焼きパン)の中身に使われる食材とほとんど同じです。
つまり、ご飯の上にタコスの具材をのせているから、「タコス」+「ライス」で「タコライス」という名前がついたわけです。
私たちがタコライスに対して持っている「異国イメージ」は、メキシコのタコスからくるものなのかもしれませんね。
吉祥寺の「ハモニカ・クイナ」を体験レポート!
すっかりタコライスの口になってしまった筆者は、吉祥寺のタコライス専門店「ハモニカ・クイナ」に行ってきました。
場所やお店の雰囲気、タコライスの感想に加え、もうひとつの看板メニューである「ソーキそば」のレポートもお届けします。
「ハモニカ・クイナ」はハモニカ横丁にあるタコライス専門店
「ハモニカ・クイナ」は、ハモニカ横丁内の、吉祥寺駅から徒歩1分のところにあるタコライス専門店です。
コンセプトは「時間とらずに野菜とろっ!」。
沖縄出身のオーナーはタコライスを提供して15年以上とのことで、期待せざるを得ません。
細道の先、少し開けたところに現れる赤いお店は、見つけてくれといわんばかりに、ハモニカ横丁のなかでもひときわ目を惹きます。
入り口の横には券売機が用意してあり、ここで食券を買って入店するようです。
以前の入口は左側の「のれん小路」内にあったように記憶していますが、いまは正面の扉が入り口で、左側はテイクアウト専用の受け取り口になっているようですね。
タッチパネルを操って食券を購入。
レギュラーメニューに加えて期間限定メニューも充実しているので、メニュー選びからすでにエンターテーメントです。
タコライスの場合は「S」「R」「L」、ソーキそばの場合は「少なめ(麺100g)」「普通(麺200g)」「大盛(麺300g)」「特盛(麺400g)」のように量を細かく選択でき、幅広い層のお客さんに対する気遣いが感じられます。
真っ赤な鳥(クイナ?)に導かれて入店です。
店内の雰囲気は「海の家」を彷彿とさせる
店内を見て最初に受けた印象は「海の家」。
アップテンポのBGMが流れるなか、壁は整った木目に覆われ、木のテーブルとオブジェのような椅子が並んでいます。
落ち着いた照明を、入り口のガラスから差し込んだ光が手伝っています。
店内はコンパクトな印象ながら2階も備えていて、全部で26席を用意しているとのことです。
壁にはこれまでに販売されたタコライスのメニューが飾られ、はじめて来店した筆者も、さっそくハモニカ・クイナの歩みに触れることができました。
物腰のやわらかい店員さんに食券を手渡します。
今回は、一番人気の「アボカドチーズタコライス(サイズはR、サルサソースの辛さはマイルド)」と沖縄料理の代名詞「ソーキそば(少なめ)」を注文。
お供にはコーラを選んで、厨房から聞こえる包丁の音とともに料理を待ちます。
「アボカドチーズタコライス」で南国へ
最初にやってきたのは、「アボカドチーズタコライス」。
大盛りのレタスにひき肉とチーズの姿は確認できたものの、現時点ではアボカドの姿を確認できません。
かたわらにはサルサソースが控えます。
ここで、脇にあった「クイナのタコライスの召し上がり方」を確認。
食べ方を学び、いざスプーンを入れていきます。
千切りレタスをスプーンで平たくして場所をつくり、
こぼれないように気をつけながらサルサソースを丁寧にかけ、
お好みでマヨネーズやタバスコをかけ(あまり辛いものが得意じゃない筆者は多めのマヨネーズのみ)、完成です!
最後の仕上げを自分ですると、不思議なことに、食べる前からタコライスに愛着が湧いてきます。
では実食。
手前から中心部近くまで崩すと、礼儀正しく並んでいるアボカドが姿を見せました。
スプーンの上に小さいタコライスをつくって、ひと口で頬張ります。
最初に主張してきたのはレタスでした。
食感もさることながら、そのみずみずしさは特筆すべきものでしょう。
それに追いつくようにして、濃くて深さのあるひき肉の味とサルサソースの辛み・酸味が広がり、口のなかだけ異国にいるような感覚です。
サルサソースの辛さは、注文時に「マイルド」と「ホット」から選択できます。
マイルドはかなり辛さを抑えてあるので、辛いものが苦手な方でも食べやすいでしょう。
備えてあるタバスコで細かく調整することも可能です。
最後は、アボカド、マヨネーズ、チーズが仕上げ。
辛みはよりやわらかくなり、味がひとつにまとまります。
全ての食材の相性が抜群で、一連の流れが絶妙な塩梅で着地したような気がしました。
冷たいレタスとあたたかいご飯、ひき肉の温度が口のなかで中和されていく感じも、ひと口目の醍醐味といえるかもしれません。
2口目からは、少しずつ混ぜながら。
ときおり、タバスコで味にアクセントをつけながら食べ進めます。
異国、それも南国に誘われる味を堪能し、リピーターに身をもって賛同しました。
特に暑い夏、一心不乱に頬張りたいメニューです。
食感のコントラストにハマる「ソーキそば」
「ソーキ」とは豚肉のスペアリブのことで、ソーキそばがソーキそばと呼ばれる所以です。
運ばれてきた「ソーキそば」には、これまで経験したなかでも1、2を争うほど大きなソーキがのっていました。
まずはスープを啜ります。
屋内外の温度差で疲弊した夏の体を慰めるように、隅々まで染みていきます。
次は麺へ。
コシの強い「首里そば」を使っているという麺は、固めで筆者好みの食感。
噛みごたえがあるので、量以上の満足感が期待できそうです。
ついに、気になっていたソーキに箸をかけます。
見た目から予想した通り、噛んだそのときから口のなかでほぐれていきます。
軟骨は歯がいらないほどやわらかく、食感はもはや液体といっても過言ではありません。
噛むたびに甘辛い肉汁が染みだすのは、味がしっかりと染み込んでいる証拠です。
少し食べ進めたら、沖縄では一般的な調味料「コーレーグース(島唐辛子の泡盛づけ)」で味を変えてみるのも良いでしょう。
辛さでソーキそばの味が締まります。
さすがは代表的な沖縄料理。
食中の”沖縄感”はタコライスをも凌ぐものがありました。
まとめ|ハモニカ横丁に吹く北米と沖縄の風
現代において、野菜不足はもはや他人事ではありません。
特に若い世代の方は、知らないうちにその渦中にいる可能性もあります。
吉祥寺のハモニカ・クイナは、「沖縄料理での野菜不足解消」を私たちに提案します。
サルサソースを纏ったその姿は、多くの人が思い浮かべるような沖縄料理の姿ではないかもしれません。
ただしそれは、かつての沖縄で求められたものと、いまの日本で求められているものが響きあった結果です。
常に前進し続ける沖縄料理の姿なのです。
ハモニカ・クイナには、まだ私たちの知らない沖縄がありました。
住所 | 吉祥寺本町1-1-8 |
交通アクセス | 「吉祥寺」駅から徒歩2分 |
電話番号 | 0422-21-6607 |
営業時間 | 11:30~21:00 |
https://www.instagram.com/tacorice917/ |
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