吉祥寺を支えてきたあの人、あの店主 Vol.7(ベイス・ワン店主 金子桂子さん)

かき氷屋、オイスターバーなど、多彩な飲食店が集まるじぞうビル。

京都の町家風情が漂う通路を通り、2階にあがると正面に、バー「ベイス・ワン」はある。

引き戸を開けると、和テイストのアットホームな雰囲気が広がり、金子桂子さんが温かく迎えてくれる。

金子さんは昭和の終わり頃から吉祥寺でバーを経営し、一度引退を考えたが、2013年に移転して再オープン。

その時に声をかけてくれたのが『シティハンター』など、多くの名作を世に送り出してきた漫画家の北条司さんだった。

「膝を痛めてしまい閉店を決めて、常連さんにもその旨をお知らせしたんです。そしたら常連のリョウちゃん(北条さん)から、『1年後に自社ビルを建てるから、もう一度そこでバーをやりませんか』と誘っていただき、その時見せてくれた図面には、2階のこの場所にすでに『ベイス・ワン』と書いてあった。ありがたいお話だけどその時は断ったんです。そしたらその夜に、暗い階段を上ると、急に視界がパッと明るくなり、豊かな自然が一面に広がる不思議な夢を見たんです。その後、建設中のビルに遊びにきて、ここに入った瞬間、奥に井の頭公園の緑が見えて、『あ、あの時夢で見た景色だ』と感動して!何かのお告げかもしれないと思い、ありがたくお受けしました。前の店に比べると規模は小さいけれど、その分お客さんとの距離も近くなったし、自分もリラックスして接客ができています」

取材中に訪れた常連さんにも『おかえりなさい』と言ってもてなす金子さん。

移転後も変わらず、多くの常連さんが足繁く通う。

店を開いて約35年。長く愛される理由とは?

「常連さんはみんな何でも言い合える家族のような存在ですね。お互い思ったことはズバズバ言うから、喧嘩になることもある(笑)。でも距離感は大切にしています。自分の話を聞いてほしい人もいれば、ゆっくり飲みたい人もいる。お客さん一人ひとりが肩の力を抜いて、心地よく過ごしてもらえるような接客を心がけています。もちろん、初めてのお客さんや若い方もウエルカム!立ち仕事で体力勝負なところもあるから、毎日プールで泳いで、体力をつけています。まだまだ現役で、シェイカーを振り続けたいですね」

北条さんと作ったオリジナルカクテル「獠」1,200 円。

ワイルドターキー、マラスキーノ、ライムを合わせたエキゾチックな味わい。

幅広で重厚感がある椅子が配されたカウンター席のほか、テーブル席も。

応接間でくつろぐような居心地の良さ。

住所武蔵野市吉祥寺南町1-9 -9 吉祥寺じぞうビル2F
電話番号0422-49-0266
営業時間18:30~23:30
休業日月・第3日曜・祝日
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