かき氷屋、オイスターバーなど、多彩な飲食店が集まるじぞうビル。
京都の町家風情が漂う通路を通り、2階にあがると正面に、バー「ベイス・ワン」はある。
引き戸を開けると、和テイストのアットホームな雰囲気が広がり、金子桂子さんが温かく迎えてくれる。
金子さんは昭和の終わり頃から吉祥寺でバーを経営し、一度引退を考えたが、2013年に移転して再オープン。
その時に声をかけてくれたのが『シティハンター』など、多くの名作を世に送り出してきた漫画家の北条司さんだった。
「膝を痛めてしまい閉店を決めて、常連さんにもその旨をお知らせしたんです。そしたら常連のリョウちゃん(北条さん)から、『1年後に自社ビルを建てるから、もう一度そこでバーをやりませんか』と誘っていただき、その時見せてくれた図面には、2階のこの場所にすでに『ベイス・ワン』と書いてあった。ありがたいお話だけどその時は断ったんです。そしたらその夜に、暗い階段を上ると、急に視界がパッと明るくなり、豊かな自然が一面に広がる不思議な夢を見たんです。その後、建設中のビルに遊びにきて、ここに入った瞬間、奥に井の頭公園の緑が見えて、『あ、あの時夢で見た景色だ』と感動して!何かのお告げかもしれないと思い、ありがたくお受けしました。前の店に比べると規模は小さいけれど、その分お客さんとの距離も近くなったし、自分もリラックスして接客ができています」
取材中に訪れた常連さんにも『おかえりなさい』と言ってもてなす金子さん。
移転後も変わらず、多くの常連さんが足繁く通う。
店を開いて約35年。長く愛される理由とは?
「常連さんはみんな何でも言い合える家族のような存在ですね。お互い思ったことはズバズバ言うから、喧嘩になることもある(笑)。でも距離感は大切にしています。自分の話を聞いてほしい人もいれば、ゆっくり飲みたい人もいる。お客さん一人ひとりが肩の力を抜いて、心地よく過ごしてもらえるような接客を心がけています。もちろん、初めてのお客さんや若い方もウエルカム!立ち仕事で体力勝負なところもあるから、毎日プールで泳いで、体力をつけています。まだまだ現役で、シェイカーを振り続けたいですね」
北条さんと作ったオリジナルカクテル「獠」1,200 円。
ワイルドターキー、マラスキーノ、ライムを合わせたエキゾチックな味わい。
幅広で重厚感がある椅子が配されたカウンター席のほか、テーブル席も。
応接間でくつろぐような居心地の良さ。
住所 | 武蔵野市吉祥寺南町1-9 -9 吉祥寺じぞうビル2F |
電話番号 | 0422-49-0266 |
営業時間 | 18:30~23:30 |
休業日 | 月・第3日曜・祝日 |