八丈島 浜やん店主 金城昌吉さん
東急百貨店横の雑居ビルを下りていくと、八丈島・沖縄料理の店「浜やん」はある。
店内の壁に貼られた手書きのメニュー、棚に並ぶ島焼酎、そして店主の金城昌吉さんとそのご家族の笑顔。
「ただいま」と思わず言いたくなるようなアットホームな雰囲気。
一見さん、常連客分け隔てなく接する金城さんは、誰からも慕われる吉祥寺のお父さん。
お客さんが来ると「よく来たね~」と手をにぎにぎ。
スキンシップもお手の物(現在はご時世的な事情によりやや自粛気味)。
金城さんは、昭和17年生まれ、沖縄県那覇市出身。
中学生の時に、伊豆諸島の八丈島に引っ越した。
「私は10人兄弟の上から3 番目。大家族だから生活が大変で、八丈島の親戚がこっちの方が暮らしやすいよと誘ってくれてね、小さな船に乗り、家族全員で海を渡りました。
高校卒業後は、幼い弟・妹を育てていくために島を離れ、東京に出稼ぎへ。その時に、女房と出会ったんだ。一度八丈島に戻り、昭和52年、私が34歳の時に女房の親戚からの勧め
で、吉祥寺にお店を開くことになったんです」
それが「浜やん」。
しかし島寿司やくさやといった八丈島の料理はこの界隈の人には馴染みがなく、最初はあまり繁盛しなかったそう。
「それに島と東京では言葉が全然違うから、最初はお客さんとまともに喋れなかった。ほらまだ若かったし、照れくさいしね。でも日に日に言葉に慣れていって自然と話せるよ
うになったら、みんな私のファンになっちゃうんだよ!まいったねー。というのは冗談だけど、ありがたいことに一度来てくれた方が口コミで広げていってくれて、お客さんが増
えていった。今も家族経営で、店のスタイルは45年変わっていない。最近はこんなご時世だしなかなか来られないお客さんもいるけれど、去年すぐそばの道路が陥没した時は、み
んな心配して連絡をくれて、すごくうれしかったね。店はお客さんとの信頼関係があってこそ成り立つもの。だからここまで続けてこられたんだと思う」
最後に店を開いて一番嬉しかったことを聞くと、「君に出会えたこと」と言って、ウインクする。
御年80歳、茶目っ気たっぷりのお父さん節はいまだ健在。
この軽快な会話とおいしい料理に惹かれて、またここに帰ってきたくなるのだ。
洋ガラシが効いた酢飯の上に醬油漬けした鮮魚をのせた「島寿司」650 円は誰もが注文する人気メニュー。島焼酎は1 杯550 円~
広いテーブル席とカウンター席からなる明るい店内。
味のある木製のテーブルは創業時から使い続けています。
文/鈴木恵美
ライター。武蔵野市歴18年。吉祥寺で飲み屋を開くのが夢。取材してほしい人大募集。
住所 | 武蔵野市吉祥寺本町2- 8 -1877bld.B I F |
電話番号 | 0422-22-0422 |
営業時間 | 17:00~23:00 |
休業日 | 月曜日 |