吉祥寺は、「住みたい街ランキング」で常に上位に位置する魅力ある街です。
吉祥寺がこのように多くの人から愛され続けるのは、あらゆるジャンルの文化が中心エリアに偏りなく集まり、住むにも、観光するにも不都合がない街づくりがなされているからでしょう。
「アニメ」「オタク」といったカルチャーもその1つ。
吉祥寺においてそうしたカルチャーを一手に担うのが、吉祥寺パルコ内にある「アニメイト」です。
今回は、吉祥寺最大級のアニメショップ「アニメイト 吉祥寺パルコ店」に実際に訪れたレポートをお送りします。
オタク歴20年以上になる筆者としては、オタクシーンにおける変化の大きさに若干ギャップを感じつつも、吉祥寺で充実した品揃えの書籍やグッズを漁ることができ、非常に貴重で喜ばしい時間を過ごすことが出来ました。
アニメイトは日本最大級のアニメショップチェーン
吉祥寺でアニメグッズやアニメ関連書籍を手に入れるならここ、と誰もが思い浮かべるであろう「アニメイト」。
実はアニメイトは日本国内最大手のアニメショップチェーンで、アニメ好きなら知らない人はいないといえるほど有名な老舗のアニメショップなのです。
東京でアニメの街といえば秋葉原ですが、アニメイトが最初にオープンしたのは意外にも豊島区池袋。
1983年3月に現在の池袋本店にあたる「アニメイト池袋店」が第1号店としてオープンし、その後同年11月に阿倍野ベルタ店が、12月に三宮店がオープンするなど京阪神地域にも積極的に展開していきます。
その後も南関東と京阪神を中心に店舗を着実に拡大していき、京阪神地域や仙台・福岡といった地方都市へ波及後急速に店舗数を拡大、現在では47都道府県すべてにアニメイトがあるほか、海外にも6店舗を展開するという、名実ともに日本最大級のアニメショップチェーンに成長しました。
吉祥寺のアニメイトは32年目の老舗店
そんな歴史と圧倒的規模を誇るアニメイトの中でも、吉祥寺店は歴史が深く、1989年7月にオープンし、今年で32年目を迎えます。
吉祥寺はもちろん、世間一般にとってアニメ文化が一般層に浸透する前から存在し、吉祥寺の中でも数少ないアニメグッズが手に入るお店としても、アニメ情報の発信地としても長年重宝されてきました。
かつては中道通りに店舗を構えていましたが、2017年に現在の吉祥寺パルコ7階に移転し、旧店舗に比べ売り場面積は1.5倍に増床され、商品数が大幅に充実するだけでなく、通路やレジスペースにもゆとりが生まれました。
そして、フロアを白色に統一することで、より明るく入りやすい空気感に生まれ変わっています。
加えて、吉祥寺のランドマーク的な大型商業施設の1つである吉祥寺パルコ店内に移転したことで、かつて閉鎖的で敷居の高かったアニメショップというものへの抵抗感も減り、誰もが入りやすいお店になりました。
2021年5月13日まで、東京都で発令されていた緊急事態宣言での「大規模施設の休業要請」により吉祥寺パルコ内のほぼ全店舗がしばらく閉店していましたが、現在では時短営業ではありながらも営業再開しています。
立地は、吉祥寺駅中央改札から北口に出て、目の前の平和通りの横断歩道を渡り、そのまま駅を背に左方向(西)にまっすぐ進み、吉祥寺通り(公園通り)にぶつかるところ、突き当りに位置する「吉祥寺パルコ」の7階です。
店名 | アニメイト 吉祥寺パルコ店 |
住所 | 180-8520 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-5-1 吉祥寺PARCO 7F |
営業時間 | 11:00~20:00(カフェグラッテ 11:00~19:15) |
アニメイト吉祥寺店は女性向けコーナーが充実
吉祥寺において長年営業を続けているアニメイト吉祥寺店は現在どんな感じなのか、実際に行ってみました。
さて、現在、アニメやオタクといったシーンでメインとなっている購買層は「女性」であることをご存知でしょうか。
オタク文化に長年浸かってきた人には既知の事実ではありますが、オタク文化はインターネットの普及とともにすっかり一般に浸透しました。
スクールカースト上位に位置するイケメン・美女までもが自分からオタクを名乗り、アニメグッズを持ち歩き、アニメの話題やインターネットの話題を普通にするのが今の時代のスタンダードです。
特に近年では、「腐女子(ふじょし)」の台頭をベースに、男性よりも女性のほうがオタクとしての確固たる地位を固めつつあり、主要購買層の一翼を担っているといってもいいほどのレベルになっています。
オタク趣味を持っているなどと口にした瞬間、男性からは引かれ女性からは避けられ、唾を吐きかけられ石斧で殴られ続けたオタクの暗黒時代を知る筆者としては到底考えられないくらい、輝かしいまでの一億総オタク時代、それが2021年の「今」なのです。
そのような時代の兆候に加えて、吉祥寺パルコという他の買い物のついでにも都合がいい立地も関係しているのか、アニメイト吉祥寺パルコ店では特に女性の来客が多いように感じました。
筆者が訪れた時間帯(平日の16時頃)もあるでしょうが、入店客の8割以上が女性でしたし、店のフロアを囲むように設置されているガチャガチャも、女性向けの内容が非常に多いように感じました。
また、扱われているグッズや書籍の数でも、もちろん男性向け作品も多く揃えられてはいますが、やはり多く目についたのは女性向け作品で、むしろ女性向け作品のほうが多いようにも感じ、男である筆者自身もオタクであるはずなのに、どこか居心地の悪さも感じてしまうほどでした。
女性客層は男性客層よりもより深くキャラクター個人やカップリングに注目する傾向にあり、近年では「推し」キャラをメインに据えてアイドル的に2次元キャラクターにのめり込む傾向にあります。
そのため、特にアニメイトで売られているようなアニメグッズを買い求めやすいということもあるでしょう。
そうした傾向からアニメショップに女性が増えるのはもはや必然的であり、アニメイト吉祥寺パルコ店も女性客層が多いことを見越した商品ラインナップを強化しています。
特に入り口に近いエリアには『ツイステッド・ワンダーランド』や『ヒプノシスマイク』、『刀剣乱舞』、『あんさんぶるスターズ』、子どもにも人気のアニメ『鬼滅の刃』『呪術廻戦』といった、男性キャラがメインのゲームやアニメの特集コーナーが展開されていました。
そうした新時代の「匂い」というべき個人的に感じる違和感は、かねてよりオタクであった筆者をまるごと吹き飛ばさんとするような新たな時代の空気感に満ちていました。
中でも、相当ディープな奥まった棚に集中するBL漫画/小説コーナーで仲良く話しながら本を物色する男女のカップルを見かけた時など、「これが新時代なのか」とその場に倒れそうになったものです。
吉祥寺アニメイトには「カフェグラッテ」を併設
アニメイト吉祥寺パルコ店には、東京都内に数あるアニメイトの中でも際立って特徴的な側面があります。
それは、アニメイト店内に「カフェグラッテ」を併設しているということ。
カフェグラッテとは、アニメイトが特許を取得している「グラッテ」を提供するカフェスペースのことです。
「グラッテ」とは、ドリンクの上の生クリームの上に、コラボレーションしている人気アニメキャラクターをプリントしている「グラフィック・ラテ」のこと。現在は、『魔法使いの約束』や『BLEACH』『黒執事』『ダンガンロンパ』などとコラボレーションしています
「グラッテ」を提供するカフェグラッテは、京都市に展開するアニメイトカフェショップ京都に次いでオープンされ、関東では初上陸となります。
現在ではアニメイト渋谷でもカフェグラッテがオープンしていますが、それでも東京都内は2店舗しかなく、全国的に見てもわずか6店舗しかありません。
つまり、実はアニメイト吉祥寺パルコ店は、東京都内どころか、全国的に見ても優位性が高いレアなアニメイトなのです。
カフェグラッテでは、店内右奥、レジ付近に設置された注文端末(タッチパネル端末)でメニューを選び、チケットを発券してレジでお会計をし、メニューが出来たら受け取る形になります。
メニューにはグラッテのほかにクッキーもあり、グラッテとクッキーで1,000円ちょっととお手軽に買うことができます。
ラテアートのようにプリントされたキャラクターが上面にくるようになっているので、ストローをキャラクターの顔に刺さないといけないのが残念です。
店内にはカフェキッチンとカウンターからなる簡易的なカフェスペースも用意されていますが、現在は感染拡大防止のためカフェスペースでの飲食は中止されており、テイクアウトのみとなっていますので注意しましょう。
まとめ
以上、アニメイト吉祥寺パルコ店の概要や歴史、実際に巡ってみての感想を簡単にではありますが述べてみました。
オタク歴20年以上になる筆者としては、オタクシーンにおける変化の大きさに若干ギャップを感じつつも、吉祥寺で充実した品揃えの書籍やグッズを漁ることができ、関東でも珍しいカフェグラッテを体験できることは非常に貴重で喜ばしいことだなぁと思いました。
何しろ、カフェグラッテはアニメイトの総本山である池袋本店にもないのですから。
カフェグラッテのメイン購入層であろう女性、特に腐女子としては、乙女ロードを内包する池袋にもない独自コンテンツの存在は嬉しいのではないでしょうか。
アニメも「何期の何を見る?」という会話が日常会話にまでなっている現代は、まさに一億総オタク時代。
『文豪ストレイドッグス』の太宰治も、アニメシーンで特に女性に人気ですが、太宰治は三鷹に居を構え吉祥寺で遺体が引き上げられた過去を持ちます。
また、吉祥寺という街自体が、アニメ『Occultic;Nine-オカルティック・ナイン-』や『GTO』の聖地でもあります。
まだまだオタクのイメージの少ない吉祥寺ですが、たまには聖地巡礼もかねて、存分に「ヲタ活」「推し活」してみてはいかがでしょうか。