吉祥寺がアニメの街だということをご存知でしょうか。
吉祥寺と聞いたとき、あなたはなにを思い浮かべますか?
井の頭公園や飲み屋街でしょうか、はたまた動物園やのどかでオシャレな街並みでしょうか、商店街が浮かぶ方もいるかもしれません。
あまたある吉祥寺の魅力のなかで、意外と知られていないのがアニメと深い関わりをもつ街であるということです。
吉祥寺を舞台としたアニメ作品も数多く存在し、街並みをのぞいてみると、いわゆる<聖地>が点在しています。
そこで今回は、吉祥寺とアニメのつながりについてみていきながら、吉祥寺が舞台になっているアニメ4作品をご紹介します!
「好きなアニメ作品の聖地が実は近くにあった!」なんてこともあるかもしれませんよ。
吉祥寺とアニメのつながり
1970年代から中央線文化の中心地として発達してきた吉祥寺は、スタジオジブリを筆頭にたくさんの制作スタジオやクリエイターと縁をもっており、これまでにも多くの漫画やアニメを生みだしてきました。
吉祥寺とアニメのつながりを語るうえで欠かせないのは、『吉祥寺アニメワンダーランド』というイベントです。
吉祥寺アニメワンダーランドは、吉祥寺駅開業100周年記念事業として1999年にスタートして以来、20年以上ものあいだ毎年開催されているアニメイベントです。
街とクリエイター・スタジオが主体となって開催するイベントは全国でも類をみないとか。
近年では武蔵野市立美術館や三鷹の森ジブリ美術館も参加し、年に一度、吉祥寺の街全体をアニメ色に染めるイベントへと、その規模は拡大をつづけています。
充実したコンテンツのなかでも、2020年で第16回を迎え、プロのアニメーション作家も数多く輩出している『吉祥寺アニメーション映画祭』は特に注目を浴びています。
制作の規模にかかわらず、面白いアニメーション作品には積極的に評価を与えようと2005年にスタートしたこちらの映画祭。
提唱者であり審査委員長の竹熊健太郎氏、アニメーション研究家の津堅信之氏をはじめとしたアニメ業界の第一線で活躍する方々を審査員に迎え、ノミネート作品のなかから部門ごとに受賞作品を選考します。
制作者独自の視点で描かれるショートアニメーションには個性が詰まっていて、非常に見応えがあります。
第16回は、審査委員長として竹熊健太郎氏、審査員として津堅信之氏・青木純氏・中村誠氏・白石慶子氏、ゲスト審査員として森本晃司氏・笹川ひろし氏を迎えた。審査員に関する詳しい説明はこちら
吉祥寺が街をあげて取り組んでいるアニメーションイベントは、アニメ好きの方であればぜひチェックしておきたいですよね。
吉祥寺が舞台のアニメ作品4選
吉祥寺は、実際にアニメの舞台になることも少なくありません。
普段からアニメに親しんでいる人であれば、吉祥寺を舞台にした作品のひとつやふたつ、聞いたことがあるでしょう。
吉祥寺の街並みに詳しい人なら、アニメ中で似た風景を目にしたこともあるかもしれません。
実際に吉祥寺が舞台となったアニメ作品を見ていきましょう。
SHIROBAKO(シロバコ)
『SHIROBAKO(シロバコ)』は、アニメ業界の日常にスポットを当てた作品です。
「シロバコ(白箱)」は白い箱に入ったビデオテープのことを指していて、映像業界で作品が完成したとき、製作者が最初に手にすることができる成果物のことです。
それぞれ違う立場で夢を追いかける5人の女の子を中心に、クリエイターたちの思いが詰まったシロバコの完成に奔走する、アニメ業界の<今>を描いています。
SHIROBAKOで主人公たちが所属するのは、「武蔵野アニメーション」という架空のアニメーション制作会社です。
物語のなかには、吉祥寺駅、丸井吉祥寺店、吉祥寺PARCO、井の頭恩賜公園、吉祥寺さとう、サンロード商店街と、実際に存在する吉祥寺のスポットがほとんどそのまま登場しています。
実際に吉祥寺にはアニメーション制作会社が多いことから、舞台設定にもリアリティがあり、現実とアニメの世界観をリンクさせやすいでしょう。
P.A.WORKS制作、水島努監督による作品。2014年10月〜2015年3月の間にTOKYO MXほかにて全24話が放送。2020年2月29日には劇場版が公開された。
ひなこのーと
吉祥寺を舞台に展開されていく演劇コメディが『ひなこのーと』です。
口下手で人見知りの主人公が、人前にでると固まってしまう自分を変えるために、憧れの演劇部がある高校へと進学するところから物語ははじまります。
主人公とその下宿先の魅力的な住人たちが繰り広げる、可愛くて楽しい日常が人気の作品です。
ひなこのーとにも、実在する吉祥寺のスポットが次々と登場します。
実際の風景と比べるとわずかに改変されている箇所もあるものの、吉祥寺を知っている人がみれば、中道通りや井の頭恩賜公園周辺がしっかりとモデルにされているのは一目瞭然です。
『月刊コミックアライブ』内の雑誌内雑誌だった『コミックキューン』にて2014年10月号より連載を開始。2017年4月〜2017年6月までTOKYO MXほかにてテレビアニメ全12話が放送された。
Occultic;Nine(オカルティックナイン)
オカルトをテーマにした『Occultic;Nine(オカルティックナイン)』も、吉祥寺を舞台にした作品として知られています。
オカルト板まとめ系アフィブログを運営し、超常現象を科学的に一刀両断すべく日夜オカルトに挑む主人公は、ブログがきっかけで<徹底的にマニアックでおかしな同志>に出会います。
出会うはずのなかった運命が交差し、少しずつ起こりはじめる小さな”違和感”が、次第に大きなうねりとなり、そして大事件につながっていく展開からは目が離せません。
主人公が吉祥寺に住んでいることもあり、Occultic;Nineでは吉祥寺の街が非常に重要なシンボルとして描かれています。
現在も実際に営業しているお店で、アニメ中では主人公たちが居座っている『BLUE MOON』をはじめ、吉祥寺の実在するスポットが物語に大きくかかわる場所として、かなり忠実に再現されたうえで登場しています。
キービジュアルには暗いサンロード商店街が使われており、深夜や早朝のサンロード商店街で真似したくなったファンの方も多いのではないでしょうか。
オーバーラップ文庫より2014年8月に刊行された志倉千代丸のライトノベル。A-1 Pictures制作、イシグロキョウヘイ監督のテレビアニメ全12話が、2016年10月9日〜12月25日までTOKYO MXほかにて放送された。
BROTHERS CONFLICT(ブラザーズコンフリクト)
『BROTHERS CONFLICT(ブラザーズコンフリクト)』は、主人公と13人の兄弟をめぐる恋模様を描いた物語。あるとき、父の再婚がきっかけで、女子高生の主人公に突然13人もの兄弟ができます。
できたばかりの兄弟たちとの共同生活。あくまで家族として接する主人公に、兄弟たちはしだいに特別な感情を抱きはじめます。
コンフリクトは「衝突」を意味し、ひとりの少女をめぐる恋模様が兄弟間の衝突につながっていく展開を暗示させているのです。
「会いたいときに会えるけど、愛を囁き合うには近すぎる」というキャッチコピーからは、切なさがにじみでていますね。
まず、BROTHERS CONFLICTで主人公たちの共同生活の舞台になる「サンライズ・レジデンス」というマンションは、吉祥寺にあるという設定です。
物語をみても、おのずと活動拠点は吉祥寺周辺が多くなっていて、吉祥寺駅はもちろん、サンロード商店街、井の頭恩賜公園、大正通りと、実在する数々のスポットが登場します。
実際にみてみると、作品中でもかなり忠実に再現されていることがわかります。
単行本を元にドラマCD、ゲームやテレビアニメなどを展開している。メインとなる「新感覚ビジュアルストーリー」企画は『シルフ』にて2010年5月22日発売の7月号より連載がスタート。TOKYO MXほかにて2013年7月〜9月までテレビアニメ全12話が放送された。
吉祥寺の街並みとともに聖地巡礼を楽しむ
アニメーションと深いかかわりをもつ吉祥寺は、実際にアニメの舞台として使われることも多い街です。
物語の舞台として設定されてきた作品は数知れず、アニメ好きの方には気になっている方もいるのではないでしょうか。
吉祥寺での聖地巡礼をおすすめする理由の一つに、「アニメで使われているスポットが駅周辺に集中している」ということがあります。
紹介した作品をみてもわかる通り、吉祥寺駅から徒歩10分圏内でいけるスポットばかりです。
「時間はないけど聖地をめぐりたい」「短い時間でいろんな作品の聖地をめぐりたい」というアニメファンに、吉祥寺はぴったりです。
アニメの舞台を自分の足を使ってめぐることで、作品の世界を追体験できるとともに、作り手の思いにふれることもできます。
たまには、吉祥寺の街並みを楽しみながら、好きなアニメの世界にどっぷりと浸かってみるのはいかがでしょう。
作者の真意と吉祥寺がリンクして、作品のことをもっと深くまで知ることができるかもしれませんよ。
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