古民家風の外観、引き戸にかかった風になびく暖簾。
末広通り商店街のはずれに構える「器と道具 つみ草」は、昔からそこに存在していたかのような素朴な佇まいだが、店主の小林裕二さんが、この店を開いたのは2009年のこと。
「それまでは店舗や家具などのプロダクトデザイナーとして働いていました。
しかし多忙で身体を壊して、これからの人生のことも考えて、49歳の時にお店を開店。
昔から器好きで、高校の修学旅行で山口県萩市に行き、萩焼と出会ったのがきっかけだったかなぁ。
工芸工業デザインの専門学校に通っている時には、瀬戸や多治見など、日本各地の焼き物の郷を巡りました。
デザイン事務所に就職してからは、焼き物とは一度距離を置き、家具などのインテリアのデザインを手がけるように。
当時は海外のデザインやトレンドを意識したものばかり作っていたように思います。
それはそれで新しいし、おもしろかったけれど、その反動もあってなのか、年を重ねるにつれ、手仕事の温もりを感じられる民芸品への興味がどんどん膨らんでいきました」お店で取り扱っているのは、普段使いできるような日本各地の器をはじめ、暮らしの道具、郷土玩具など。
老舗から気鋭の作家まで、100を超える窯元や作り手の元を訪れ、直接買いつけてくる。
「月1回のぺースで日本中を回っています。直接会うと、その人の人柄や性格も見えてくるし、どんな想いや環境で作品と向き合っているかを知れるので、お客さんにも作家のメッセージを伝えやすくなる。それに自然素材を使って作られるのでひとつとして同じものはないんです。焼き物も窯を開けてみるまでどんな仕上がりになるかわからないので、今回の出来栄えについて、作家さんと意見交換をする時間も大切にしています」店に陳列される商品たちは、どれも我が子のような存在だそう。
「人の手で作られたものだからこそ愛着が沸く。だから売れるとうれしい半面、手放したくないなぁと思うことも正直あります(笑)。でも日本にはその土地の素材や特色を生かした逸品がたくさんあり、まだまだ知られていないものも多い。そういった日本の伝統技術を広めていくお手伝いができればという思いで、お店に立っています」
住所 | 武蔵野市吉祥寺南町2-20-3吉祥寺フラット1F |
電話番号 | 0422-24-9585 |
営業時間 | 12:00~19:00 |
休業日 | 月曜・火曜 |