吉祥寺の街には、数多くの「ゆっくり話せるカフェ」が溶け込んでいます。
その存在は吉祥寺にとって、夏の空にある入道雲のように、毎朝セットされた携帯のアラームのように、部活が終わって買い食いに向かう流れのように、あまりにも自然で当たり前のものなのかもしれません。
なかでも、住宅街に姿を溶け込ませた一軒家カフェが「Ryumon Coffeestand(リュモンコーヒースタンド)」です。
こちらは、若い女性を中心に支持を集め、Instagramでもフォロワー5,000人を超える人気店。
今回は、そんなRyumon Coffeestandへ実際に足を運んできました。
「Ryumon Coffeestand(リュモンコーヒースタンド)」とは
「Ryumon Coffeestand」は吉祥寺南町にある一軒家カフェです。
2021年でオープン10周年を迎えています。
元は飲食店に勤めていたというオーナーの小泉さんは、コーヒーの味の違いを感じたことがきっかけで、専門店のコーヒーを飲み歩きはじめたとのこと。
そのなかで、コーヒーを国ではなく農場単位で捉え、その味わいの違いを楽しむ「シングルオリジンコーヒー」という流れを知るとともに、新鮮かつ品質の高いコーヒーが持つユニークな味わいは、誰にでも伝わるものだということに気づいたそうです。
コーヒーが持つ世界の広がりを身をもって感じ、この多様性やワクワクを皆さんにも体験してほしいと思ったことが、開業を目指す理由になったと語っています。
Ryumon Coffeestandの根元には、「商品とサービスを通じて、新しいコーヒー体験や穏やかな時間を提供していきたい」という思いが込められているようです。
「Ryumon Coffeestand(リュモンコーヒースタンド)」の場所と外観
吉祥寺駅公園口を出て、西に徒歩7分ほど歩いた末広通り沿いに、Ryumon Coffeestandはあります。
「一軒家カフェ」と謳っているとおり、横顔があまりに住宅街に溶け込んでいて、近づくまでその存在に気が付きませんでした。
正面に回ってみても、外観は決して過度に主張しません。
1方向のみに斜めの屋根が特徴的な建物は、かたわらの木と寄り添い合うようにして立っています。
ロゴに採用したくなる気持ちが分かる、可愛らしい並びです。
まるで住宅街の景観を守るかのように控え目な外観ながら、入り口にあしらわれた雰囲気のあるイラストやロゴが、好奇心を刺激します。
お店の前に姿を見せた途端、オーナーさんが出てきて案内してくれました。
親切なオーナーさんに導かれ、入店です。
「Ryumon Coffeestand(リュモンコーヒースタンド)」のメニュー
入口をくぐった瞬間から、ミルクとコーヒーの混ざりあった香りが嬉しくて、表情が緩んでしまいます。
はじめ、店の奥にあるオリジナルイラストが目に入りました。
入口横にはオリジナルの雑貨も並んでいて、他店にはない、Ryumon Coffeestandならではの世界観を形成しています。
オリジナルイラストの一部はグッズになっていて、オンラインストアで購入が可能です。
SOLD OUTしているものも少なくありませんが、気に入ったイラストがあればチェックしてみても良いかもしれません。
1Fには、2人がけの席が2つ用意されています。
まずはメニューから注文を選びます。
Ryumon Coffeestandでは、1人ワンドリンクは必須なようです。
この日のメニューには、10種類のドリンクと4種類の軽食が用意されていました。
「ドリンクも軽食も注文したい」と唸っていると、「ケーキセット」を発見。
ケーキセットは、好きなドリンク1種類とケーキ1種類を合計1,040円でいただけるというセットです。
組み合わせによっては、100円以上お得になることも。
13時〜19時に来店した場合のみ注文が可能のようです。
そこで今回は、ケーキセットを注文。
アイスラテとチーズケーキの組み合わせをチョイスしました。
普通に注文するより60円お得です。
メニューを選んでいる間にも、オーナーさんがお客さん1人ひとり、ひとメニューひとメニューに丁寧に対応している姿が印象的でした。
注文した商品は2Fまで運んでくれるとのことで、2Fに移動します。
「Ryumon Coffeestand(リュモンコーヒースタンド)」の店内の様子
2Fに上がる階段には、イラストやステッカーが散りばめられています。
その光景は、まさに階段ミュージアム。
騒々しさのなかにアートを感じます。
2Fは、無彩色が多めの上品なデザインです。
無彩色と言っても冷たい感じはなく、トーンの落ち着いた空間で、鮮やかな色彩で描かれた絵が映えています。
穏やかな照明とゆるいタッチの絵が空気を和らげ、斜めの天井は小さい頃に憧れていた屋根裏部屋のよう。
扇風機やレコードプレーヤーが、レトロチックな空間を演出しています。
席は2人がけのテーブルが3つと4人がけのテーブルが1つ。
1Fと2Fを合わせて見ても、お客さんにはカップルや若い女性が多く感じました。
席に着くと、伝票のような紙に「TODAY’S COFFEE」の文字が。
どうやら、今日のメニューで使われているコーヒーについて詳しい情報が記載されているようです。
まさに、「コーヒーの多様性を伝えたい」というコンセプトに合ったサービス。
ついでに目に入ったWi-Fiのパスワード「cheese#cake」が、可愛らしくて和みます。
席のレイアウトが自由で広さもあるせいか、2Fは時間の流れがより緩やかに感じます。
1Fから聞こえる物音や他のテーブルの話し声が他人事みたいで、気がつけば自分たちだけの世界に深く入り込んでいました。
同行者と時間を忘れて話しているうちに、アイスラテとチーズケーキが運ばれてきました。
アイスラテは、透明のダブルウォールグラスに白と茶色のコントラストが浮かんでいます。
色が混ざりあっていく瞬間は魔法のよう。
写真映えも間違いありません。
飲んでみると、ミルクのなかにコーヒーの味がしっかりと立っています。
濃厚なミルクとそれに負けないコーヒーの濃い味と香りが、本格派の方々をも唸らせることでしょう。
見た目の華やかさだけではない、本格的な味わいのアイスラテです。
チーズケーキは、味が凝縮されていて濃厚です。
酸味はやわらかく、甘さも控えめで上品な味。
底のビスケット部分には軽い塩気があり、味にアクセントを与えてくれています。
オーソドックスな見た目で油断したものの、フォークを進める手が止まりません。
プレートの上には、優しい甘さを加えてくれる「生クリーム」と、濃厚でやわらかな酸味の「ラズベリーソース」、味に新たな展開をもたらす「岩塩」がトッピングされています。
トッピングのおかげで、最後まで味の変化を楽しみながら食べることができました。
同行者は、アイスラテとブラウニーのケーキセットを注文していました。
まんまと好奇心を刺激された筆者。
また来店して他のケーキやドリンクを注文するのが楽しみです。
まとめ
吉祥寺の喧騒から少し外れたところにあるRyumon Coffeestand。
住宅街という日常風景のなかにありながら、そこで過ごす時間は日常のそれではありませんでした。
お店のなかには、10年という決して短くはない月日をかけて作られたであろう、外界とは一線を画す緩やかな時間の流れがあり、オーナーの思いが溶け込んだこだわりのコーヒーが、空間に寄り添うように在りました。
日常に寄り添いながら、ただそこにいてくれている。
待ってくれている。
いつでも私たちを歓迎してくれる非日常が、Ryumon Coffeestandです。
そこは、ワクワクとあたたかさを併せ持った、まるで誰にも邪魔されない、わたしだけの秘密基地のようでした。
住所 | 武蔵野市吉祥寺南町2-14-9 |
交通アクセス | 「吉祥寺」駅から徒歩7分 |
https://www.instagram.com/ryumoncoffeestand/ | |
営業時間 | 09:00 ~ 18:30 |
休業日 | 水曜日、第一・第三火曜日 |
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